リサーチプラスは、ネットユーザー300人に対して「電子出版の小説」についての調査を行い、その結果を発表した。
これによると、PCおよび携帯電話/PDAなどにおいて、メールまたはWebサイト上で10ページ以上の小説を「読んだ事がある」としたユーザーは、22.7%。しかし、そのうち約半数にあたる11.0%は「読んだ事はあるが、途中で読むのを止めてしまった」としており、その他の77.3%は「読んだ事がない」ということがわかった。
そこで、読んだことがあるユーザーに、書籍以外で小説を読んでみた感想を尋ねたところ、「便利だった」としたのは48.5%で、「不便だった」は51.5%と、ほぼ半数ずつ。「便利」とした理由では、「かさばらなくて読みやすい」「内容が面白かった」が最も多かったものの、中には「無料だったから」「有料だと読まないかもしれない」という声もあった。一方「不便」な理由としては、「画面が読み辛かった」「目が痛くなった」のほか、「スクロールが不便」「前日どこまで読んだかわからなくなった」など、長編作品には不向きと考えられる意見が多い。
また読書経験のあるユーザーに、その小説の提供形態を尋ねたところ、最も多かったのが「PCでWebサイトに接続して」56.8%で、次いで「携帯電話でWebサイトに接続して」20.3%、「PDAでWebサイトに接続して」6.8%、「PCでメールとして配信されてきた」「携帯電話でメールとして配信されてきた」各5.4%、「PCで専用のビュワーをダウンロードして」「携帯電話で専用のビュワーをダウンロードして」各2.7%という結果に。このことから、Webサイトに接続して読むという方法は、PC/携帯/PDAあわせて8割以上を占め、最もポピュラーであることが推測できる。
なお「最後まで読んだ」とするユーザーと「途中で読むのをやめてしまった」というユーザーを比べると、「PCでWebサイトに接続して」(64.1%:48.6%)、「携帯電話でWebサイトに接続して」(20.5%:20.0%)、「携帯電話でメールとして配信されてきた」(7.7%:2.9%)において、最後まで読んだ人が多かった。一方、「PDAでWebサイトに接続して読んだ」(2.6%:11.4%)「PCでメールとして配信されてきた」(2.6%:%8.6)という形では、途中でやめてしまうユーザーが多く、また「携帯電話で専用のビュワーをダウンロードして」最後まで読んだというユーザーは、この調査では0だった。
また、「電子出版作品を読んだことがない」理由としては、「そんなサービスを知らなかった。興味はある」が46.1%でトップ。次いで、「書籍で読むので、あまり必要がない」36.2%、「小説に興味がない」15.1%のほか、「目が疲れそう」「興味はあるがシステムがよくわからない」「読みたい作品がない」などの意見が挙がっている。
最後に、有料の電子出版サービスの利用経験・意向を尋ねたところ、「利用したことがある」ユーザーは5.9%で、「本の置き場所に悩まなくて済むから」等、データであることの特性から「利用したことはないが、利用してみたい」としたのは22.1%。一方、「利用したことも、その予定もない」とする声は72.1%を占めており、その理由としては逆に「形として残らないものにお金を出すのはいや」という意見や、「有料なら読まない」「書籍という形が好き」などが挙がっていた。
これらのことから、電子出版物の読み方自体を知らないユーザーは少ないが、読書自体が好きな人は「書籍」という形にこだわりを持っている場合が多いと考えられる。また、PCや携帯/PDAの画面の見やすさ、目への負担の軽減といったコンテンツ側ではどうにもならない事柄が「読まない理由」としては多くを占めており、一方「好きな作家の作品があれば考える」というユーザーも存在しているが、単純に、著名な作家を多く招き入れることが電子出版界の活性化につながるとは考えにくい状態にあるようだ。